インプラント治療と保険の関係
インプラント治療は虫歯や歯周病などの、保険が適用される保険診療の歯科治療とは違い、基本的には保険が適用されない自由診療（保険外治療）です。
さらに自由診療という名の通り、歯科医院によっても費用がそれぞれ異なります。また保険診療ではないために費用も高額になってしまいます。しかし患者さんの症状によっては、インプラント治療は保険が適用されるケースもあるのです。
保険診療とは
保険診療とは、健康保険が適用される診療のことで、基本的に治療などでかかった医療費の３割を自己負担すれば治療を受けることができます。 ※70歳以上75歳未満の高齢者は、年齢によって自己負担額が異なります。 さらに、1ヶ月の医療費が一定金額を超えた場合、高額療養費制度を利用すれば上限から超えた医療費の払い戻しが受けられる制度もあります。
保険診療では、保険で認められている治療法や材料を使用します。虫歯を削ってレジン（プラスチック）を詰めるレジン充填や、いわゆる銀歯と呼ばれる金属の詰め物や被せ物、他には、神経の除去や抜歯、ブリッジ治療などがあります。
自由診療とは
自由診療は、保険が適用されない診療のことで、厚生労働省が承認していない治療や薬を使う場合は自由診療となり、治療費が全て自己負担となります。その際、歯科医院によって費用や治療内容が異なるため、患者さんと歯科医院との間で、事前の確認が必要となります。セラミックやジルコニアといった、保険が適用されない材料を使用した詰め物や被せ物で歯を白くしたり、歯列矯正で歯並びをきれいにしたり、
インプラント治療が保険適用になる場合
虫歯や歯周病などの保険診療が可能な症状が原因で失った歯の部分に人工歯を埋入するインプラント治療は、保険は適用されません。また、加齢によって起こる骨吸収による歯の脱落も保険適用外となります。インプラント治療が保険適用になる条件は、歯を喪失した原因によって保険適用されるかどうかが決まります。
インプラント治療が保険適用の条件に当てはまるケースは、上顎の3分の1以上が連続的に欠損していて、さらに鼻腔や副鼻腔にまで繋がっていると診断された場合や、病気や第三者が起こした事故などが原因で、顎の骨の3分の1以上が連続的に欠損したと診断された場合、生まれつき顎の骨の3分の1以上が形成不全な場合があります。 さらに、インプラント治療が保険適用されるためには、歯科または歯科口腔外科の病院であり、歯科または歯科口腔外科に5年以上の経験がある、もしくは3年以上のインプラント治療の経験のある常勤の歯科医師が2名以上いることや、宿直医や日直医などの当直体制が整っていること、病床の数が20以上を完備している病院であることや、医療機器や医薬品の保管や安全性確保のための体制が整っていることが、施設の必要条件となります。
インプラント治療は医療費控除の対象
自由診療であるインプラント治療。医師の高度な技術や、高額の医療設備、セラミックなどの高価な素材を必要とするため、どうしても費用は高くなってしまいます。 インプラントの治療費用は健康保険はほとんど適用されませんが、医療費控除の対象となるため、申請をすることにより医療費の負担を軽減することが可能です。
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの１年間の間に支払った医療費が10万円を超えた場合（年収が200万円未満の方は、所得の5%以上を支払った場合）に所得に応じて所得税が減額され、医療費の一部が還付される制度です。医療費控除制度を利用すれば、治療でかかった費用の一部が還付されるため、経済的な助けになると思います。 医療費は、歯科医院で支払った治療費以外にも、薬局で支払った薬代や通院するために使用した公共の交通機関の交通費なども含まれます。
※自家用車による通院で支払ったガソリン代や駐車場代は交通費として含まれません。 また、ご自身の他に生計を共にしているご家族が支払った医療費も、医療費控除の対象として申請することができます。しかし、インプラント治療で支払った費用は、全てが医療費控除の対象になるわけではありません。あくまで対象となるのは、事故やケガで歯を欠損した場合や、このままでは日常生活に支障が起きてしまうため、治療が必要と医師が判断した場合などの治療を目的とした場合です。見た目を整えて綺麗にしたい、などといった審美目的の治療の場合は、医療費控除の対象外になるので注意しましょう。
まとめ
インプラント治療の保険適用はかなり条件が限られているため難しいのが現状です。しかし、医療費控除の申請などをすることによって、費用を抑えることができます。 当院では、ほとんどの患者さんが医療費控除の対象となりますので、インプラント治療をおこなった場合は忘れずに、確定申告時に医療費控除を申請をしてください。
